医療通訳士の紹介

医療通訳への想い 〜患者さんの心に寄り添う通訳として〜

山口 直江

私がこの仕事をしている理由(私の原点)

私が医療通訳コーディネーターという仕事に強く惹かれた背景には、一人の母親としての忘れられない経験があります。

かつて私の息子が幼い頃、数年にわたり総合病院に通い、最終的に全身麻酔の手術を受けたことがありました。 当時、言葉の壁や日本との医療文化の違いを前に、私は医師になんとか私の思いを伝えようと必死でした。けれど結果は言われるままに治療を進めるしかありませんでした。

その後何年も経ってから私が勤務する病院で息子が再度診療を受けることになり、当時のカルテを持参することになりました。そのとき初めて執刀医が書いたカルテを目にして大変驚きました。そこには「日本人の母が積極的診療に不満、当初は手術拒否」という一文が。 私は決して不満をぶつけたかったわけではありません。ただ、子供にとって何が最善なのか、相談できる相手もおらず、納得のいく説明が欲しかっただけなのです。

「あの時の自分のような不安を、他の誰にも味わってほしくない」 「納得のいく医療を提供し、患者さんの悩みを分かち合えるパートナーになりたい」

その想いが、40歳を過ぎてから私を医療通訳コーディネーターの道へと導いてくれた気がします。

病院のスタッフが「医療」のプロであるならば、私は「患者さんの心」のプロでありたい。 今でも、お子さんを抱えて不安そうに来院されるお母さんの姿を見ると、当時の自分と重なり、「もう少し詳しい説明をお願いします」と医師に橋渡しをせずにはいられません。

「おかげで安心して治療を受けられました」 その言葉をいただけることが、私の最大のやりがいです。

資格

・国際観光医療コーディネーター(韓国 国家技術資格)
・医療通訳検定試験 日本語(韓国 保険福祉部認証)
・家族相談士(日本家族カウンセリング協会)

ソウルアサン病院での13年— 命の最前線で向き合ってきたこと

韓国最大級の医療機関であるソウルアサン病院にて、13年間、日本語担当コーディネーターとして走り続けてきました。そこでは、ガイドブックには載っていない「海外で医療を受ける」ことの現実と、言葉では言い尽くせない切実な物語がありました。

私がこれまで共に歩んできたのは、例えばこのような方々です。

  • 異国の地で孤軍奮闘する駐在員とそのご家族 慣れない土地での子育てや生活、そして単身赴任の重圧からくる心身の不調。精神科での治療が必要になった方の心に寄り添い、言葉だけでなく、その孤独感をも通訳してきました。
  • 命を繋ぐために海を渡ってきた方々 日本では困難だった「臓器移植」を求めて、最後の希望を託して来韓された患者さんとご家族。極限の緊張感の中で、命の現場の重みを分かち合ってきました。
  • 予期せぬアクシデントに見舞われた旅行者 楽しい旅行中に突然倒れ、ICU(集中治療室)へ搬送された方。また、美容整形クリニックでのトラブルにより救急移送されてきたケースなど、一分一秒を争う現場での冷静な判断とサポートに力を尽くしてきました。

これらの経験を通して学んだのは、医療通訳の仕事は「正確な言葉」を届けるだけでは足りないということです。 患者さんが今、何を恐れ、何に傷ついているのか。 13年間、あらゆる診療科を駆け巡りながら培った知識と、数百件におよぶ現場の記憶が、今の私の支えになっています。

「サイト名「あいあいファミリー」に込めた想い」

このサイトの名前は、2007年にスタートした在韓日本人のコミュニティ「あいあい」から名付けました。 「あい」には、韓国語で「こども(아이)」、日本語で「愛」、そして誰もが知っている童謡の「アイアイ」という、とても可愛らしくて親しみやすい響きがあります。

私は、韓国で多文化社会が始まった頃に結成されたこのコミュニティのまとめ役として、20年近くメンバーとその家族たちと共に歩んできました。 かつて小さかった子供たちは成人し、進学や就職の時期を迎え、それぞれの道を歩んでいます。嬉しいお祝い事だけでなく、時には人には言えない悩みも分かち合いながら、お互いに絆で結ばれた「なくてはならない居場所」を共に築いてきました。

現在はこれまでの経験を土台に、大学で心理学を専攻しています。言葉を訳すだけでなく、より深く、言葉にならない不安や細かな気持ちに寄り添い、安心感を与えられる通訳を目指して学びを深めています。

医療通訳として活動する際も、この家族のような温かい繋がりを大切に、皆さまに寄り添いたいと考えています。

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